コラム:東海道線の色はみかんと葉っぱではない?

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湘南色

東海道線電車の緑とオレンジのツートンカラー、「湘南色」。これは、沿線のみかんと葉の色として選ばれたと思われている方も多いかもしれませんが、実は違うのです。

1.グレートノーザン鉄道

昭和20年代前半(1940年代後半)までは、列車のカラーリングは蒸気機関車のばい煙の汚れが目立たない暗い色ばかりでした。

その頃、東海道線に80系と呼ばれる中長距離運転向けの快適な車内設備を持った新しい電車が星晃氏の手により設計されました。そんな時期に、島秀雄車両局長(当時)はアメリカの鉄道雑誌に載っていたある鉄道の写真に目を止めました。それは、ミネソタ州セントポールとワシントン州シアトルとを結ぶ本線を含む、米国北部で広大な鉄道網を有していたグレートノーザン鉄道の写真でした。

Great Northern Railway Locomotive
湘南色のモデルとなった、米国 Great Northern Railway のカラーリング

By 投稿者自身による作品, CC 表示-継承 3.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=356553

このツートンカラーをヒントにして新しい電車のカラーリングを決めることが島車両局長から指示され、「湘南色」が誕生したのです。

2.湘南色の変更

それは、列車を見る人に強烈なインパクトとセンセーションを巻き起こすとともに、戦後の明るい希望を与えるものとなりました。

オレンジ色の部分は、当初本来のオレンジ色に近い色でしたが、実際に塗ってみるとさび止め塗料のように赤みが強く評判があまり良くありませんでした。そのため、しばらくしてから色相を黄色系にずらして今の「黄カン色」と呼ばれる色に変更されました。

湘南色の113系電車

By Yaguchi – ja:東神奈川駅-ja:横浜駅, CC 表示-継承 3.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=3203044

3.みかんと葉っぱ

というわけで、この「湘南色」が沿線のみかんと葉っぱのイメージから取られたというのは、後からつけられた説明なのです。

 

「国鉄急行電車物語」 福原俊一著 JTB

「星晃が手がけた国鉄黄金時代の車両たち」 福原俊一著 交通新聞社